労働コストの安さや土地の安さなどのメリットゆえだが、とくに近年のドイツや日本メーカーの資本進出に伴う工場の近代化、技術移転などによる品質や製品競争力の向上は目立つ。

VW傘下に入って急速に力をつけてきたSEATは、品質への要求度が世界でももっとも厳しい日本市場への本格的参入を計画しているが、それは品質と製品競争力に自信をつけてきた表れと受け取ることができそうだ。ラテンの感性とドイツや日本の技術とのドッキングが進み、労働意識の改革が進めば、アート引越センタースペインがヨーロッパ自動車産業の一員としての地位を確立するのはさして困難なことではないだろう。 世界の自動車産業は二一世紀を前にして、あらゆる面で大きな困難と混乱に見舞われている。世界の自動車需要の七〇%を占める先進国の需要の頭打ちと需要構造の変化、そして、その中での日米欧三極の激烈な戦いは、単に一産業間の競争という域を超えて、国家間の経済・政治の場での主役的存在にもなっている。